私も日本書道を揮毫する一人ではありましたが、自身にとっては書く事は手段の一つに過ぎません。如何にして“平和のメッセージ”を相手国、民衆、メディアに対し日本人力、伝統文化力を懐に届けられるか。一年掛けて思考した命題であります。
親善の目的には大きく二つを課していました。
一つは、民間親善大使として行政を中心とした民間外交を施行する事。これは首都サラエボ、バニャルカそしてスレブレニツァといったKeyとなる都市部行政の長、または国・市の運営する重要施設等に「平和のメッセージ」を日本伝統文化のアプローチで確実に届ける事。また、大学機関におけるアプローチにて「和の精神」の奥底にある哲学的価値観を訴求する事。これは特に紛争後の若い学生達に現代を生きる新しい価値観を求め行く切っ掛けを、その門扉を開く機運を創りたかったと云うことの他ありません。
二つ目には、小学校等における訪問或いは集会所で次世代の子ども達に直接、日本伝統文化を体験いただき触れ合う事。凡そ伝統文化に携わる人でもこれらを実行するに団結した日本人がこれまであまりいなかったことは事実であります。
現在、ボスニア・ヘルツェゴビナでは民族融和、平和構築は途上であります。民衆の感情は“冷戦”状態であり進行形なのであります。その様な中において同じ人間、平和を希求する人間同士として私達日本人が為した「日本伝統文化」の剣を持って平和の旗印を背負った親善平和友好活動は、一定の評価を得て広く一般市民にその心の響き“バイブレーション”を与えることが出来たことはこの上ない喜びであり成功の証でありました。しかしながら、この度の活動は最初のセレモニーに過ぎません。
愈々これからであり、次へのステップに舵を切り、より一層ボスニア・ヘルツェゴビナの民衆平和社会構築に向け出来ることを続けて参りたい。私達は、この国の抱えている紛争の傷跡から「負の歴史」を学び、確認し、更に「和の精神」を表現し続けて行く事。これこそが私たちの親善平和友好活動の全容であり民間外交であります。
【企画・総合演出】団長総括 和田華仙
2018-11-18
コメントをお書きください